彼には行きつけがある。

 

　休みの日の楽しみは、喫茶店（彼曰くおばちゃんのとこ）でコーヒーを飲むことだ。

　店に入ると、「よー来たねぇ～」「待ってたでぇ！！」と大歓迎でいつもの席に座る。

 

　コーヒーの前に腹ごしらえをする。

　お昼は一押しの焼きそば定食。

　目玉焼きとサラダがついて、とてもバランスのいいメニューになっている。

 

　一口食べると「おいしい！！」の一言。

　それを聞いた店のおばちゃん、居合わせたお客さんもみんなが笑顔になる。

 

　焼きそばを食べた後は、お待ちかねのコーヒーだ。

　店の人は、彼の好きな砂糖の分量まで理解してくれている。

　決まってホットコーヒーを飲む。ゆっくり味わいながら…。

　おしゃべりも盛り上がると、あっという間に時間が過ぎる。

 

＃焼きそばはもっちもちでおいしいでぇ☆

 

「いこっかぁ」と席をたち、店を出る。

「ありがとう！またおいでやー！」とおばちゃんは姿が見えなくなるまでずーっと見送っていた。

 

　行きつけがあると落ち着く。心のオアシスなのかなぁと私は思う。

　みんなの中に彼がいる、待っている人がいる。

　帰る場所があるということは、本当に幸せな事なのだと。

　同じ時間を共にすることで、分かり合えることが出来た。

　とても貴重な時間だった。

　私もホットコーヒーのように暖かく、ホッとした気持ちになった。

　そしてまた、彼は行きつけの店に行くのだ。