あいえる協会活動ブログ

活動内容から日常の出来事まで、いろいろな「あいえる協会」をお伝えします!

ヘルパーさんと地域で❝自分らしい生活❞を!~藤本さんの❝健康❞に迫ってみた!!~

あいえる協会 2022年4月1日

 気候もすっかり春らしくなりました!!

 昨年度は、まだまだコロナの波による影響は激しく、障害当事者、支援者共に活動に多くの制限を強いられる中で、障害当事者の思いに寄り添い、“地域で共に暮らす”という当たり前を意識した一年でした。

 今年度も、ホップ一丸となり、障害当事者の方も地域社会に積極的に参画していけるよう、共に悩み、考えながら活動していきます!!!

 

 昨年度は、藤本さんの生活や好きな事を通して、ヘルパーさんの仕事に迫って特集しました。

 今年度は、藤本さんを含めた地域で暮らす障害当事者の生活や好きな事を通して、ヘルパーさんの仕事に迫って特集していこうと思います。

 

 さて、昨年度の話になりますが、藤本さん宅に一通の封筒が届きました。

 

特定健診とは

 生活習慣病の予防のために、対象者(40歳~74歳)の方にメタボリックシンドロームに着目した健診を行います。(厚労省HPより)

 藤本さんに健診の趣旨を説明し、どうするか尋ねてみると…

「健康診断をうけたい!!実は家族にも糖尿病の人がいて、自分の健康についてとっても心配だったんだ」

 と打ち明けてくださいました。

 ならば健康診断を受けてみよう!!と、藤本さんの健康診断プロジェクトが幕をあけたのでした。

 

☆当日までに取り組んだこと

 特定健診を受けるのには、二つの方法があります。

 一つは、区役所などの集団検診実施会場で受ける方法。もう一つは、指定された病院で受ける方法。

 本人さんと何度も相談しながら、受けたい検診内容を確認し、封筒に同封されていた特定健診取り扱い医療機関一覧を見て電話をかけていきます。

 がん検診も受診したいとの事だったので、がん検診も込みで受けられるところを探していくと‥‥あれ、意外と対応している病院が少ない?本人さんのADLを考慮すると…対応している病院がもっと少ない?

 一抹の不安を抱えつつも藤本さんと一緒に電話かけを行い、何とか受け入れてくれる病院を見つけました。

 病院に予約を取ると、病院側から問診票が送られてきます。

 藤本さんは特定健診に合わせて胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの検診も希望されていたので、各検診毎に問診票の内容を一つ一つ説明しながら入力していきます。

 全部の問診票を記入するには1時間弱を要し、全てYES/NOで全力投球で答えてくださった藤本さんも、ちょっぴりお疲れでした?

 非課税世帯の場合は、非課税証明書を持参するとがん検診が無料になるので、区役所で非課税証明書をもらい、書類準備はOK。

 胃カメラのみ、特定健診日の日程と合わせることができなかったのですが、病院から「電話口で後日受けることができますよ」と伝えて頂き、当日検診時に空いている枠で予約することに。

 検体もしっかりと準備し、当日は朝食を抜き、準備は万端!!いざ、出発!!!

 

☆健康診断当日!!

 健康診断当日、必要物をすべて準備し、予約していた病院に到着。

 何かあった時でも対応できるよう、介助者は2名体制で行きました。

 上衣のみ検査着に更衣し、胸部レントゲンから検査はスタート。

 

 

 車いすの人でも移乗せずに撮影できるよう、特別な可動式カメラと投射盤を使い、座ったまま胸部のレントゲンを撮ってくれました。

 続いて受けたのは乳がん検診。

 藤本さんの障害特性上、マンモグラフィー検査は難しかったため、乳腺エコー検査に事前に変更してもらっていました。

 

 

 車いすに乗る藤本さんは、ベッドへの移乗介助が必要でした。

 エコー時間は15分ほどを要し、ゆっくりとリラックスした雰囲気の中、検査を行ってくださいました。

 

 続いての項目は身体測定。

 

 身長と体重が同時に測れる優れものですが、立位を長時間キープするのが難しい藤本さんには少し難しく…看護師さん含めて3人で身体を支え、位置を調整し、何とか測定することができました。

 その場で腹囲測定、血液検査、血圧測定も行い、残るは子宮頸がん検診と胃がん検診のみ。

 子宮頸がん検診のために婦人科専用の待機部屋に移動を促され、しばらく待っていると、支援者のみが呼び出され、看護師さんから、

「台の上に乗って頂くのが難しいと思うので検査は無理だと思います。なので検査は以上になります」

 と、さらっと伝えられました。

 そのために介助者を2名手配していること、なので移乗できること、本人さんは検査を受けたいと思っていることをお伝えすると、少し待ってほしいと言われました。

 その後、別の先生と看護師さんが来て、また支援者のみ呼び出され、様々なリスクを伝えられ検査を受けることは勧めないと言われました。

「本人さんに直接説明して決めてもらいます」

 とお伝えし、藤本さんに向けて、先生たちから改めて話をしてもらいました。

 話を聞いた上で本人さんにどうするか尋ねると「今回は止めておくわ」との事だったので、今回は検査を受けないことになりました。

 最後に支援者だけが呼ばれ、

「次回以降当医院で健康診断を受ける際にも子宮頸がん検診は難しいです」

 と伝えられました。

 そんな一幕を経て受付に案内され、胃カメラの予約を…と思っていたら、先生が出てこられ、

「脳性麻痺の既往歴を持つ人は、胃カメラの際に使う麻酔に関してリスクがあるので、当医院では受け付けることができない」

 と支援者に向けて説明され、予約を断られてしまいました。

 

☆健康診断を終えて

 

藤本さんの感想

 胸部レントゲンが大変だったんだ。首を上げた状態をキープするのが難しかったんだ。

 結果も来たけど、特に大きな病気が見つからなくてよかった。

 私くらいの年代になると、大きな病気に繋がることもあるから、みんなに健康診断を受けてほしいな!

 次は、人間ドックに挑戦してみたいな!!

 

 藤本さんも言われていたように、いつまでも健康でいるためには、定期的に検診を受けて、病気を初期段階で見つけたり、自分の普段の身体の状態を定期的に知っておくのがとても大切になってきます。

 それは障害があるなしに関わらず、すべての人が必要とする事なのではないでしょうか。

 病気になる確率も、事前に予防する必要性も、健常者、障害者変わりなく一緒なのに、検診を受けようとする、ただ普通の権利を利用しようとしているだけなのに、障害があるというそれだけで“難しいですね”と断られてしまう、そんな現状が如実に表れて、支援者としては社会との壁を感じました。

 また、同じくらい悲しかったのは、すべての説明が、本人さんを越えて、支援者に直接語りかけられたことです。

 本人さんはそこにいるのに、本人さんが望んで受けたいと言った検診なのに、そこにいないかのように自然に支援者に説明され、支援者に決定を求められるのが、支援者としては歯がゆい思いでいっぱいでした。

 同じようなことは、様々な場面でよく見られます。

 例えば、電車に乗る時。例えば、お昼ご飯を食べに寄った飲食店で。例えば、スーパーの中で。

 相手が良かれと思って、支援者に話しかけてくれる時、その都度、その機会毎に当事者の方本人が社会と触れ合う機会を奪うことが無いよう、自分の行動も含めて今一度意識する必要があると思いました。

 そういった小さな努力を積み重ねることで、支援者に一番に話しかけるのではなく、当事者に話しかけ、会話するのが当たり前の社会が少しずつ実現するのではないでしょうか。

 

 今回、健康診断について具体的にレポートさせて頂いたのは、健康について気になるけどどうしたらいいかわからない…そんな当事者の皆様に、少しでも具体的なイメージを抱いてもらえたらと思ったためです。

 今回の記事を読んで、健康診断に興味があるな、自分も受けてみたいなと思った方は、周りにいるスタッフや支援者、友人に伝えてみてください。

 

 送られてきた特定健診の結果の封筒には『毎年必ず検診を受けましょう』と記載されていました。

 今回受けられなかった胃がん検診と子宮頸がん検診も含め、今年度も一緒に色々な情報を調べて、本人さんの理想に沿った検診を受けられるよう考えていく予定です。

 

 今年度も、藤本さんの、身体に関わらず心配なことに寄り添いながら、一緒に学び、色々なことを経験していきたいと思います。

 

私が行かなきゃ誰が行くのよ!!—————藤本さん

あなたも一緒にわくわくする冒険の一幕に立ち会ってみませんか?