あいえる協会活動ブログ

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福祉避難所って何? ~『いつか』のために知っておきたいこと~

あいえる協会 2024年1月31日

 ※このブログは、あいえるらくがき帳3月号に掲載されるものを、ブログ用に編集したものです。

 

 元日早々、能登を襲った地震は、全国に衝撃を与えました。

 これを書いている一月中旬の時点では、福祉避難所の開設の遅れが報道されていますが、そもそも福祉避難所の存在を知らず、どこにも避難出来ない人も少なくないと思います。

 そこでこの記事では、福祉避難所とはどのようなものなのか、制度面の話を交えて解説します。

 また、2024年度から義務化されるBPCや、能登のために私達が今出来ることの一部も、併せて紹介します。

 

福祉避難所とは

 一般的な避難所で生活することが難しい高齢者や障害者、妊産婦や乳幼児等と、その家族を対象とした避難所です。

 災害対策基本法施行令第20条の6第1~5号で定める基準を満たした指定福祉避難所の他、老人福祉施設や障害者福祉施設と協定を結んで確保した避難所も、広義には含まれます。

 一般的な避難所の基準に加えて、十人に対して一人程度の生活相談員の配置、要配慮者に配慮したポータブルトイレ、手すり、仮設スロープ、情報伝達機器、紙おむつ、ストーマ用装具等の消耗機材を確保すること等が求められます。

 福祉避難所に必要な費用は、被災した都道府県と国が負担することが、災害救助法で定められています。

 都道府県は、そのための財源として、災害救助基金を積み立てなければなりません。

 

福祉避難所が出来た背景

 1995年に起きた阪神淡路大震災において、高齢者を中心に、災害関連死(避難生活等による疾病で亡くなること)が非常に多かったことから、福祉避難所の必要性が議論されるようになりました。

 そして、2004年の中越地震では事実上の福祉避難所が、2007年の能登半島地震では災害救助法に基づく福祉避難所が、初めて設置されました。

 当初は、受け入れを想定していない被災者が押し寄せることへの懸念から、まずは一般避難所に避難し、必要な人は福祉避難所に移動するという手順でした。

 また、同様の理由で、指定避難所として公示される福祉避難所の確保は、なかなか進みませんでした。

 しかし、一般避難所への避難が難しく、普段利用している施設へ直接避難したいという要配慮者の声を受け、2021年に災害対策基本法が改正されました。

 福祉避難所は一般避難所とは分けて公示され、受け入れ対象者とその家族のみが避難する施設であることも併せて公示することになりました。

 市区町村は、地区防災計画や個別避難計画の作成を通じて、福祉避難所の受け入れ対象者を特定し、直接避難出来るよう調整することが求められます。

 

BCPの義務化

 また、令和3年度の報酬改定により、障害福祉サービス事業所は、2024年3月31日までに、BCP(業務継続計画)を作成することが義務化されました。

 災害や感染症が発生した時に、業務を極力中断させず、速やかに復旧させるため、あらかじめ計画書を策定しておくというものです。

 あいえる協会でも、危機管理部門が中心となって策定を進めていますが、課題は山積しています。

 

 例えば、福祉避難所が求められるレベルの災害が、生活介護の営業時間外に起きたとしたら、誰が本当に事業所まで来られるでしょうか。

 全てのスタッフが全ての事業所の鍵を持っているわけではないので、扉を開けられない可能性もあります。

 能登のように道路が寸断されれば、遠方に住んでいるスタッフが来られず、事業所の近くに住んでいるスタッフばかりに負担がかかるかもしれません。

 

 ヘルパー派遣に関しても、想定しなければならないことはたくさんあります。

 もし、一人暮らしをされている利用者が、土日等のヘルプセンター・ホップ営業時間外に被災したら、どうやって連絡を取るのか。

 ヘルパーの派遣時間外に被災された利用者宅に、誰か駆けつけることは出来るのか。

 ホップ以外の事業所がヘルパーを派遣している時間に被災したら、その事業所に任せるのか。

 様々な状況が考えられ、どれもが頭を悩ませます。

 

 更に、BCPは一度完成したら終わりではなく、毎年見直す必要があります。

 研修も毎年実施しなければならない上に、新しいスタッフが入社すれば、その都度研修しなければなりません。

 つまり、事務作業がとても増えます。

 

 いざ災害が起きた時、計画通りに行動出来るかは、その時にならなければ誰もわからないでしょう。

 それでも、日々の点検や訓練を積み重ねることで、少しでも被害を抑えられるよう努めていきます。

 また、災害時には共助が大切であることから、地域の避難訓練に参加する等の、地域の人達に障害者の存在を知ってもらう活動にも取り組んでいきます。

 

今、私達に出来ること

 ※現在、石川県では、個人の支援物資を受け付けていません。

  また、石川県でのボランティア活動を希望される方は、必ず石川県の特設サイトをご確認ください。

 

 現在、様々な団体が、能登半島での復旧活動に尽力されています。

 復旧活動を支援するため、様々な募金が受け付けられていますので、その中の一部を紹介します。

 

障害者への支援に特化した募金

ゆめ風基金

 2012年から、被災障害者への支援を続けている認定NPO法人です。

 

届け.jp

 Amazonのほしい物リストを活用して、必要な物資を必要な場所へ届けられます。

 

その他の募金

日本赤十字社

 能登半島への募金は、クレジットカードに対応していないため、ご注意ください。

 

Yahoo!ネット基金

 様々な取り組み団体が網羅されています。一部はTポイントでの寄付も出来ます。

 

作成にあたって参考にしたもの

災害対策基本法

災害対策基本法施行令

災害対策基本法施行規則

災害救助法

福祉避難所の確保・運営ガイドライン

能登半島地震での福祉避難所の設置・運営とその後の取組み